ある日のこと。
私と息子、ふたりそろって扁桃腺が腫れてしまい、咳が続いていました。
そのときにふと気づいたのです。
「…あれ?咳のリズムがまったく同じ!」
こん、こん、と小さく咳をして、息を吸い込んでから、もう一度こん!
私の咳と息子の咳が、合図を決めたかのようにシンクロしていました。
お互いにしんどい状況なのに、その瞬間だけは少し笑ってしまったほどです。
無意識の学習は生活のなかに
子どもは親をよく見て、日々まねをしながら学んでいきます。
話し方や表情、しぐさだけでなく、咳の仕方までも吸収してしまう。
「学習ってここまで?!」と驚かされました。
意識して「こう咳をするんだよ」と教えたわけではないのに、
同じ体調・同じタイミングで咳をすることで、
まるで鏡のようにそっくりなリズムになってしまったのです。
咳のリズムが似る理由
咳にはその人なりのクセや特徴があります。
- 息を吐いてから咳をする人
- こもった音で咳をする人
- 咳のあとに「んん」と声を出す人
こうしたクセは、気道や声帯の特徴による部分もありますが、
身近な人の影響を受けて自然と似ていくことも多いそうです。
さらに、親子で同じように扁桃腺が腫れていた今回のようなケースでは、
「痛みを避けながら咳をする」体の反応がそろっていたこともあり、
リズムまでそっくりになったのだと思います。
親子で過ごす「同じ空気」から生まれるもの
振り返ると、私たちは一日の大半を同じ空気の中で過ごしています。
同じ時間に眠り、同じ部屋の湿度や温度を共有し、同じごはんを食べる。
そうした日常の積み重ねが、呼吸のリズムや体の反応までも似せていくのかもしれません。
「学ぶ」というと机に向かう姿を思い浮かべがちですが、
本当はこうした暮らしの中の何気ない一瞬こそが、
子どもにとって大切な学びの場なのだと気づかされます。
不思議さと、ちょっとした可笑しさ
咳で苦しいはずなのに、親子でそろって同じリズムで「こんこん、こん!」とすると、
なんだかコントのようで少し笑ってしまう瞬間があります。
もちろん体調はつらいのですが、その中にふっと生まれる笑いは、
気持ちを少し軽くしてくれるものですね。
「学び」は言葉だけではなくて
今回の出来事を通して、あらためて感じたことがあります。
学びとは、言葉で教えることだけではなく、
暮らしの中で見て、感じて、まねていくことでもあるということ。
咳のシンクロはほんの小さな出来事ですが、
そこに「親子で響き合いながら育っていく」姿が見えて、
私はとても温かい気持ちになりました。
おわりに
「咳まで似るなんて」――
親子で過ごす時間の濃さをあらためて実感した出来事でした。
体調が整って元気になったら、きっと笑い話として思い出せるはず。
そして、そんな日常のひとコマがまた、息子との宝物になっていくのだと思います。