【放課後等デイサービスの困りごと】~私の対応とAIだったらどうするか比べてみた~

① はじめに

放課後等デイサービスの現場では、日々いろんな「ちょっとした困りごと」に出会います。
今回は小学3年生のAくんとのやり取りをもとに、「私が実際にとった対応」「AIが提案する対応」 を比べてみました。

② 今日の出来事(事例紹介)

Aくん(小学3年生)は、自閉スペクトラム傾向があり、自分の思ったことは必ず口にしないと気がすまないタイプ。
思い通りにいかないと相手のせいにして大きな声で暴言を吐いてしまい、その瞬間は周囲の声が耳に入りません。

薬の調整時期に入ってから感情のコントロールが難しくなり、今日はブロック遊び中に大げんか。
さらに朝から何度も注意されたことが納得できず、気持ちが高ぶったまま午後を迎えました。

③ 私の対応

  1. 別室へ誘導
    暴れていたAくんを静かな別室へ。「他の人に邪魔されずにAくんの話を聞きたい」と理由を伝えると、おとなしくついてきてくれました。
  2. 紙に書きながら話を聞く
    右半分に:Aくんの主張・思い・行動
    左半分に:私が確認した事実や他の先生・友達の動き
    気が済むまで、何があってどう思ったかを聞き取り、書きながら共有しました。
  3. 一緒に振り返り
    紙を見ながら、
    – Aくんはどう思って行動したか
    – 他の人はどう感じていたか
    – 「Aくんも困っていたけど、他の人も困っていたかもね?」と問いかけ
  4. 状況整理と提案
    「次は優しく言ってみる?練習してみようか」と提案。
    また「ブロックはみんなのものだから、思い通りにできないこともあるよね。じゃあどうしようか?」と質問すると…
  5. 本人の気づきと言葉
    「こう遊びたいと思うと、その通りにできないと困ってしまう」と自分の特性を言葉にできました。
    さらに「困ったときは否定せずに話を聞いてほしい。できたら〇〇先生(私)に…」とリクエストまで!
  6. 代替行動の提案(ご家庭との共有)
    お迎えに来たお父様にも、Aくんと一緒に振り返りをしました。
    困っていることをしっかり言葉にできたのは大きな一歩。
    家庭でも似た場面があるとのことで、まずは安全に力を発散する方法として、
    – 新聞紙や段ボールをちぎる
    – クッションを叩く
    – タオルをねじる
    を提案。落ち着いてきたら、次のステップとして深呼吸などのセルフコントロール法を練習していく計画です。
  7. 間接的な褒めと次へのつなぎ
    お父様の前で、「困っていることを言えた」「順番を譲れた」など具体的な行動を伝え、間接的に褒めました。
    帰り際には「また困ったら教えてね」と声をかけ、安心して次に臨めるようにしました。

この関わりで、帰るころには暴言もなく、むしろ譲り合いや謝罪の姿も見られ、声のトーンも柔らかくなりました。

④ AIならどうする?

ChatGPTに同じ状況を説明して聞いたところ、提案は私の実際の対応とかなり近いものでした。
ただ、AIはより手順化・体系化して提示してくれます。

  • 安全の確保と環境の調整:周囲への影響を避け、静かな場所に移動
  • 感情の出口をつくる:共感し、本人の思いを言葉や紙に書く
  • 事実と感情の整理:「事実」と「気持ち」に分けて見える化
  • 自己理解を促す質問:「どうしてそう思った?」「次はどうしたい?」を引き出す
  • 代替行動の提案:深呼吸やグーパー運動などを事前に練習
  • 信頼関係を強める終わり方:「話してくれてありがとう」と感謝を伝え、安心して終わる

⑤ 比べてみた感想

AIの提案はとても体系的で、落ち着いた状態での支援の流れとしては理想的。
しかし現場では、言葉が届かない瞬間や、その場での柔軟な判断が不可欠です。
私の場合は紙での可視化・家庭へのフィードバック・間接的な褒めなど、その場ならではの対応を組み込みました。
AIとの比較で、自分の対応を客観的に振り返ることができ、新たな視点も得られました。

⑥ まとめ

AIの提案は落ち着いた後のステップづくりに役立ちますが、現場では瞬発力と柔軟さが不可欠。
今回の比較で、自分の対応の強みを再確認しつつ、AIの体系的な視点も取り入れることで、支援の幅が広がることを実感しました。
今後もこうした比較を続けて、子どもたちにとってより良い関わりを模索していきたいと思います。

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