【息子と音楽】0歳と音のある暮らし 〜感覚を育む楽器あそび〜

【息子と音楽】0歳と音のある暮らし 〜感覚を育む楽器あそび〜

1. はじめに 〜音で遊ぶ、感覚で育つ〜

0歳の赤ちゃんにとって、音楽は「知識」ではなく「感覚」。
音が鳴る、振動が伝わる、カラフルな色が目に入る。楽器でのあそびは、そんな小さな感覚の刺激のかたまりです。

わが家では、生後まもない息子と、日常の中でたくさん音に触れる時間を過ごしてきました。
音楽療法士として、母親として感じたことを、ここに少しずつ綴っていきます。

2. 音の出るおもちゃたち 〜0歳で出会った楽器たち〜

息子が最初に触れたのは、手のひらにすっぽり収まるフルーツシェーカー
小さな動きでも音が鳴るのが楽しかったようで、振ったり叩いたり、夢中になっていました。形や重さ、色、触り心地もさまざまで、それだけで豊かな遊びになります。

オーシャンドラムでは、手をついて滑らせるように動かすことで、楽をしながら(笑)ハイハイの練習をしていました。
グラビティチューブは、不思議な音と見た目が魅力的で、ちょっと気がそれてきた時に絶好の“気分転換”アイテムです。

透明のレインスティックは転がすことで音と視覚の両方が楽しめて、追視やずりばいのモチベーションにもなっていました。

カバサは、私が息子の手足にそっと転がして音を鳴らしたりして、触覚を介したコミュニケーションツールにもなっています。

また、キーボードの上で歩くように足を出す“自動歩行反射”をしていた時期もありました。柔らかい鍵盤の感触と音がリンクして、まるで小さな即興演奏のよう。

3. 感覚統合の考え方から見えてくること

赤ちゃんの発達には、五感で得た情報を脳でうまくまとめていく「感覚統合」の働きが土台になる、という考え方があります。

この「感覚統合」という言葉は、本来は作業療法の専門分野ですが、音楽療法の現場でも視点として参考にされることがあります。

たとえば、音を聞く「聴覚」、手で触る「触覚」、目で見る「視覚」。
それらが一緒に働くことで、赤ちゃんの中に「これは楽しい」「これは安心」という感覚の記憶が生まれ、それがやがて社会性や知的発達の土台になっていく。

楽器遊びはまさにこの“複合的な感覚体験”の宝庫なのです。

4. 知識より感覚!日常の中の豊かな学び

最近ではSNSなどで「知育グッズ」や「音で育てる教材」が人気ですが、
私は「まず感覚、それから知識」でいいと感じています。

特別なことをしなくても、楽器遊びは日常の中に自然に取り入れられます。
キッチンのボウルを叩いたり、ラップの芯をマイク代わりにしたり。音の世界は身近で、自由で、思っている以上に豊かなものです。

5. おわりに 〜赤ちゃんと“今”を楽しむ〜

音楽を使って何かを教える、育てる——。
もちろんそれも素敵な目的だけれど、0歳の今は「音とともに遊び、感覚を楽しむ」ことを大事にしたいと感じています。

息子が手を伸ばし、音に驚き、笑ったその瞬間に、もう音楽はちゃんと届いている。
音楽療法士としても、母としても、そう思える日々を過ごしています。

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